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クラニオセイクラル・バイオダイナミクスや身体に関する色々を気まぐれにつづります。
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※以下のイベントは終了しました。日程は未定ですが、また実施の予定です。

ごく少規模ではありますが、クラニオセイクラル・バイオダイナミクスの体験会を開催します。3/11の大地震を始め様々な変化が相次いだ後だけに、潜在的な疲労やストレスの解消など、心身のメンテナンスのお役に立てれば幸いです。

◆クラニオセイクラル バイオダイナミクスについて
身体が今できる範囲でバランスを取る事を援助するワークです。身体の調整力を効率的に引き出すことが主な目的で、外部から骨を動かしたり、強く押したりなどの刺激を一切加えないことが技法の特徴です。

やる側は、ベッドに横になった受ける方の身体(肩、頭部、足などの任意の部位。触れて欲しくない場所には触れません)に触れ、静かに身体全体のリズム(身体の深層に実際に動きとして存在する1次呼吸と呼ばれる働き。「気」「エネルギー」などとは別です)に耳を傾けます。そうすることで、身体は通常よりも深い調整力を発揮しやすい状態に落ち着いていき、自ずから身体の細かな調整を始めます。受けると眠くなったり寝たりしやすいです。

クラニオは、他のボディワークのように、身体の痛みや緊張の軽減など、肉体に対する問題にも対応しますが、神経系(要は脳ですね)の深いリラックスや、それに伴うホルモンバランスの調整、体液の循環を助けやすいなどの独特の特性を持つので、「なんとなく気分が沈んでいる」「不安で眠れない」といった心理面に不安がある方のお役にも立てるかも知れません。身体に負荷をかけないので、特に身体に違和感のない健康な方も気分転換やリラクゼーション的に気軽に受けられます。

◆募集要項
 ○募集人数:3名

 ○セッション時間帯(以下1枠につき1名)
 1・1200~1400:
 2・1400~1600:
 3・1600~1800:★ご予約済み
  ※クラニオのセッションは約1時間かかります。
   雑談の時間や遅れた場合の予備時間など含め1名につき2時間取っています。

 ○料金:2000円

 ○実施場所:JR五反田駅から徒歩数分のセッションルーム
  ※JR五反田駅改札口で待ち合わせして一緒に現地に向かいます。

◆申し込み方法
 ○ツイッターやmixiへのダイレクトメール、もしくは
  以下のアドレスへのお申し込みください。
 tk77wind★(@に変えてください)gmail.com
  私と交流がある方は私のその他の連絡先への申し込みでも可です。
 ※私のmixiページ⇒こちら
 ※私のツイッターページ⇒こちら

 ○申し込みにあたっては以下をお知らせください。
 ・名前(ニックネームでもOK)
 ・第1希望時間帯(上記の「セッション時間帯」参照)
 ・第2希望時間帯(上記の「セッション時間帯」参照)
 ※私とやりとりをしたことがない方は以下もお願いします。
 ・緊急連絡先(記入任意。携帯アドレスなど)
 ・簡単なプロフィールやご希望など

 ○申し込みは基本的に先着順です。
  申し込んで頂いた方に詳細をお知らせします。

 ○募集期限は4/22いっぱい。もしくは上記枠が埋まるまで。

◆その他
・私(今野。ニックネームは朧)のクラニオ歴
 クラニオ学習歴は約5年。
 ICSB(インターナショナル クラニオセイクラル バランシング協会)
 ベーシック教程セミナー6まで修了。私自身は現在はまだ正式に
 プラクティショナー(正規の施術者)の資格は頂いていませんが、
 今年の秋に本部への論文提出を控えているだけで、実技研修は全て修了しています。

・当セッションは医療行為ではありません。
 「難病の治療」「事故直後の怪我の治療」などの目的には向きません。
 クラニオは良くも悪くも地味なワークなので、体感にはかなりの個人差があります。
 「寝てしまって良く覚えていない」という感想もあります。もし何も
 実感が得られなくても、睡眠を含め、セッションでは今の身体に必要なことが
 起こったのだろう、と結果を積極的に受け止めて頂けると幸いです。

・需要がどの程度あるのか分からないので、縁ある方向けに小規模開催としましたが、
 もっと開催して欲しい、別の日に受けてみたい、という声がある場合は、
 再開催や別日程での個別セッション実施も考えますので、お気軽にご相談ください。

※時節柄、どうせならチャリティー形式にしようかとも思ったのですが、
 レンタルルーム代が比較的かさみ、利益を無理やり出すこと自体が非現実的なので、やめました。
 価格は一般的なクラニオのセッションとしてはかなり安く設定してありますので、
 募金したい方は浮いたお金で各自行ってください。

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クラニオ・バイオダイナミクス(以下クラニオ)はそれ自体でほぼ完結した技法体系と言えますが、やはりやっていると弱点というか難点もあります。今回はそれらの難点から考えてみます。

1点目は、時間がかかること。まともにやると1時間、ポジションを減らしても40分くらいは標準的にかかります。事前事後の会話などを含めれば実質1~2時間かかると思われます。そんなわけで、多人数に効率的にやることは向いていないという悲しさです。なんだかクラニオが普及しづらいのが分かる気も…。

2点目は、人によってはセッションで起こったことが分かりづらい場合があること。最近はあまりありませんが、人によっては「寝た、起きた」「良く判らなかった」という感想の場合もありました。私は受ける側としても何も感じなかったことは基本的になかったこともあり、「わからない」という感想が具体的にどういった体感だったのか(本当に何も起きていないのか、なにかを感じたが言葉にできないのか、何かを感じたが予測と違ったのか、あるいは何か起きたがそれを認識できなかったのか、など)その方々から聴きだせなかったのですが、ボディワーク全体で見れば、クラニオは地な体感をともないやすい技法だというのは分かる気はします。また、何か心地よさを感じられたり、なにか良いと感じても、かなり独特の体感なので、それを言葉に表現するのが難しい、という点も欠点なのかもしれません。


今回の震災もあって考えたのですが、もしクラニオを例えば避難所のような場所で、緊急処置的に大勢の人にやろうと思ったとしても、正規の手順を踏んでいたら、時間がかかりすぎて到底大勢には実施できないのでは、とも思いました。明らかにもの凄く少ない人数しか受けらなそうです。
そんなわけで、もし大勢にやろうと思うならば、形は崩して、それでいて原則からは極端には離れない程度の「簡易版」を行うとしたら、それにはどんなバリエーションがあるだろうかと少し考えてみました。できれば、体感も得られる方が良いという方向で。

◆案1
大勢にやる案1としては、統合のためのポジションとして主に使われる「足」のポジションだけ行う方法があるかなと思いました。身体の局部の変化ではなく、「身体システム全体の緩やかな変化と自然な落ち着き」を期待するには、数分では足りないにせよ、身体の都合次第とはいえ、15~20分くらいあれば何とか形になる気がします。少なくとも30分以内にはなにか実感が得られるくらいのことは起こりやすいのでは、と思います。
主にCRIにフォーカスするメカニカル度が高いクラニオならば、より短時間でまとめる手法があると思いますが(これはメカニカルなクラニオの強みと言えます)、バイオダイナミクスの場合は受ける方の身体の都合次第なので、上記に記載した以上の時間短縮は難しいかな、と思います。

◆案2
案2として考えたのが、背中や腕などを軽くマッサージし、しかる後に「足」のポジションで落ち着いていくという方法です。クラニオを共に学ぶ同期もこういう方法でやることがあるみたいです。これだと、身体に軽い刺激を与えておいて、それをできるだけ穏やかにまとめていくような形になるので、多少実感もあって良いかも知れません。
ただ、所用時間は「足」だけではないので、そこそこかかりそうです。あとは、私自身も含め、クラニオの術者がマッサージを習ったことはない場合も多いと思われるので、納得できるようなマッサージができるかや、何と言って紹介すればいいのかなどに困難さを感じそうです(「簡易マッサージ+簡易クラニオ」などでしょうか?)。

他には、短時間で終わらせられる他のボディワークやエネルギーワークの後に、「まとめ」「統合」として「足」ポジションを補助的に使うといった余地もあるのかも知れませんが、組み合わせの相性などもあるかもしれないので、何と合体させても良いという事にはならないのかもしれません。

◆まとめ
…と、考えてみましたが、今の私の頭ではこんな感じの案しか思いつきませんね。短時間で多くの人にやるという機会自体があるのかは非常に謎ですが、とりあえず考えるだけ考えてみました、というところです。


追記 2013/10 言い回し修正。なお、2013年夏のイベントで比較的短時間でクラニオを何名かの方に実施する機会があり、30分あれば結構色々実感してもらえる事は判りました。この記事を書いた時は単なる思い付きを書いただけでしたが、考えておいて悪いことはなかったようです。

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◆プラクティショナーニュートラル
プラクティショナーニュートラルというのは、文字通りクラニオセイクラル・バイオダイナミクス(以下クラニオ)のプラクティショナー(クラニオをやる側の人)の安定した(ニュートラルな)状態を示す言葉です。クラニオバイオダイナミクスのセッションでは非常に重要です。
プラクティショナーニュートラルは具体的な形のあるものではなく、「身体状態」というところで、それ自体は結構曖昧な概念です。大雑把に言うと「偏りのない視点を持ったまま非常に安定している身体状態」という感じでしょうか。

◆展開方法
ニュートラルというだけあって、学び初めの頃は自分の中心線(というか背骨ですね)を意識するとか、自分の足や地面をしっかり意識するとか、まっすぐの姿勢で座って、自分の肘はしっかりベッドにつけて安定させるとか、「形」から入る部分が結構あります。これらのこつは「プラクティショナーファルクラム(ファルクラムは支点の意味)」とも呼ばれたりします。
このように、自分が安定してリラックスした状態になれる姿勢をまず作り、その上で、クライアント(クラニオ受ける人)に意識が集中しすぎないように気をつけつづけることで、プラクティショナーニュートラルは自然に身についてきます。まあ、プラクティショナーニュートラル自体が一個の技のようなものですから、一朝一夕では身につけ難い部分はあると思います。
ここまで色々な事をひとつずつやるのは最初のうちで、慣れてくると、少し自分の姿勢と意識の位置を動かす程度で、ほとんどどこでもできるようになります。もっとも、このプラクティショナーニュートラルにも、他の多くの技術と同じく熟練度や段階があります。私が知っている体感より深いプラクティショナーニュートラルもあるだろうし、どんな場面でも無理なくプラクティショナーニュートラルを展開することにも経験が必要となります。

◆どんな感じか
プラクティショナーニュートラルを展開すると、自分の体感としては、視野が広くなり、自分の意識は周囲から一歩引いた感じとなり、客観的に周囲が見られるように感じられます。自分の全身も局部だけでなく全体が同時になんとなく感じられます。リラックスしているがぼんやりもせず、落ち着いてもいる感じです。いま目に見えているもののどれにも肩入れせずに「ただ見ている」「ただそこにいる」感じです。
…まあ、これは調子がいいときの状態ですが。

◆セッションでは
このプラクティショナーニュートラルの状態を保ったまま、クライアントに触れつづけることが、クラニオのセッションでは必要です。前述のようにプラクティショナーニュートラルという状態に「なること」にもこつが必要なわけですが、プラクティショナーニュートラルで「あり続ける」こと自体もひとつの技といったところでしょうか。

なぜプラクティショナーニュートラルのまま触れつづけるのが重要かというと、前の記事でたびたび書いているように、クラニオでは「クライアントの身体が変化する過程でプラクティショナーの意図を押しつけない」ことが原則なためです。
プラクティショナー自身がどこか特定の方向に意識を長時間おいている場合、クライアントもその方向に影響を受けてしまいます。例えば、クライアントが右方向ばかりを意識していると、クライアントの身体は本来右に変化する必要がなくても、プラクティショナーが意識する方向に気を取られ、本来できるはずの身体の変化が十分にできないかもしれません。
つまり、プラクティショナーの「視点に偏りの少ない中立的な身体状態であり続ける」という態度そのものが、クライアントの身体が必要な変化を起こしやすくなる環境を作りだす…という風に考えられているわけです。

◆リアルタイムに対応してます
もちろん、常時完璧にプラクティショナーニュートラルの状態でいるのは困難なことです。プラクティショナーニュートラルを一度展開しても、プラクティショナーも人間ですから、数分くらいも経てば(場合によっては数十秒で)気が散ったり、自分の思考が入ったりして、プラクティショナーニュートラルの状態が崩れてしまうことは普通にあります。
そんなわけで、セッション中は、プラクティショナーニュートラルが崩れるたびに、プラクティショナーはそれを展開し直し、常に安定した身体状態を更新しつづけているわけです。これも例によって、見た目からはほとんど見えない変化です。プラクティショナーがただじっと座っているように見える中にも色々なドラマがあるわけです。

◆本来は応用範囲が広いはずなのだが
このように、プラクティショナーニュートラルは身体感覚の類なので、上記では少し分かりづらい点があるかと思いますが、このプラクティショナーニュートラルの感覚は、手っ取り早く落ち着く必要があるときや、頭が煮詰まっているように感じられたときなど、クラニオセッション以外のあらゆる場面において非常に有効と個人的には思っています。

この体感が身についていれば、色々助けになるのではと思うので、いずれ、なんとかほかの人にも具体的に分かりやすく伝えることができたらとも思うのですが、この記事の文章表現のようすでは、それにはもう少し時間がかかりそうですな…。

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またクラニオ・バイオダイナミクスの基本的な概念についての話に戻ります。今回はクラニオのセッションのだいたいの組み立て方について。

クラニオについて、このブログでは「触れてじっとしているだけ」などと良く書いていますが、一応ボディワークの技術体系なので、ある程度手順はあります。「触れてじっとしている」を何回か繰り返すその流れみたいなものともいえます。
クラニオ・バイオダイナミクスのセッションはだいたい以下のような手順で進みます。もっともこれは「私が習った教程では」ということで、バイオダイナミクス派でも、少し違う進め方のところはあるかも知れず、絶対というわけでもありません。

1.
クライアントさん(受ける人)の話を聞きます。体調や世間話、クラニオについて知らない方にはクラニオの簡単な説明などもしたり。まあ、普通のことですね。

2.
クライアントさんにはベッドに横になってもらいます。プラクティショナー(やる人)は距離を取って静かに待ちます。この時、プラクティショナーはクライアントさんとの適切な距離感を感じたり、自分自身が十分落ち着いたり、実際に身体に触れる前の準備をします。ここでクライアントさんに幾つか今感じている身体の状態を聞く場合もあります。

3.
頭など敏感な場所にいきなり触れると、ショックが大きかったり落ち着かなかったりするので、クライアントさんにとって抵抗がなさそうな部位(肩、身体の側面、足など)に触れます。私が学ぶ教程では身体の側面(「右肩と右膝」など)に触れる事が多いです。身体全体をなんとなく把握できる感じがあるので、個人的にもよく側面から開始します。

4.
プラクティショナーはそのままじっとしています。身体全体のリズムが十分に落ち着くのを待ちます。

5.
プラクティショナーは移動して、「気になる部位」に触れます。何となくここに触れると良さそうだという、ある種の勘で決めます。決定にはある程度慣れも必要です。プラクティショナーが初心者の頃は「身体の停滞感がありそうな場所」に触れてみたりもしますが、実際は必ずしも、クライアントさんが「問題(痛みとか歪みとか)を感じる部分」に触れるとは限りません。逆に、「特に身体の中で元気がある」と感じられる部位に触れることもしばしばです。

「問題を感じる箇所」に必ずしも触れないのは、クラニオバイオダイナミクスが「身体システム全体のバランスが整うのを助ける(「ひたすら整いやすい環境を用意して待っている」ので、「整える」とも違う)」方針でセッションを進めるためです。バランスが取れた結果として問題も解決することを目指しているともいえます。

これは例えば、ある身体の歪みだけをなくしても、その歪みは身体全体としっかり結びついたものでもあるので、全体のバランスが変わらないとまた元に戻ってしまうということもあります。また、問題だろうと思った歪みでも、無理やり変えようとすれば、それに身体が抵抗することもあります。身体全体にとって無理のないように変容を促していくのがクラニオの特徴です。

触れる場所は、「そこに触れる事で特に身体全体の調整作用が適切に働いてくれそうだから」という基準で決まる、と考えても良いかと思います。

6.
触れる場所が決まったら、ここでもやる側はじっと長時間触れます。なお、「気になる場所」が何カ所かある場合は、複数箇所に触れる場合もありますが、せいぜい2,3箇所です。変化が大きすぎると大変なので、1度のセッションでむやみやたらと多くの部位に触れる事はないです。この段階では、プラクティショナーは、クライアントさんの身体が自ら整う様子に気づきつつ、静かに待ちます。

7.
最後に、クライアントさんが落ち着ける場所に触れます。主に足か仙骨であることが多いです。ここでも触れる場所が決まったら、プラクティショナーは触れながらしばらくじっと待ちます。それらの部位に触れることで、身体全体のシステムがセッション中に起きた変化を整理し、日常生活にしっかり戻れるように助けます。

8.
これで終了です。セッションを受けたクライアントさんは眠い場合が多いので、起き上がれるようになるまで待ったり、足を軽くマッサージしたりします。起きられるようになったら、セッションの総括などを話します。

…こんな感じです。ひとくちに「じっとしている」といっても、セッションの進行具合によって、それぞれ多少意味あいが違う、ということですね。まあ、見た目は同じなわけですが。

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◆トラウマワークの非常時の対応
 今回の一連の地震を受け、11日にクラニオの先輩からトラウマワークの「非常時の対応」として送られてきた文章があったので、それを私のほうで若干表現を修正して、ツイッターに転載しました。内容は以下の通りです。

1.まずは自分自身から始めましょう。
 今はまだ地震直後であり、アドレナリンが噴出している時です。こういう時は何かをしたくてたまらなくなりますが、まずはその自分自身の感覚をトラッキング(追跡)しましょう。そして自分自身が安心できる状態・サポートを最初に求めてください。

2. テレビの映像を見過ぎない
 テレビで繰り返し流される悲惨な映像は、強い吸引力を持ちます。人によっては催眠にかけられたようにテレビの前から動けなくなる人もいるでしょう。こうした映像に何度も何度も自分をさらすことは、あなたのためにならないことがあります。
(追記:より正確には、「刺激の強い映像情報の触れすぎに注意」というところです)

3.サポート
 まず必要なのは、身の安全を確保することです。避難場所、食べ物、人々が安全かどうかのチェックを優先しましょう。そして非常時に最も大切なのは、仲間やコミュニティからのサポートです。コミュニティは非常に大切です。もし集まれる仲間がいれば、集まってサポートをし合いましょう。

 これは「ソマテック・エクスペリエンス」という心理学ベースのトラウマセラピーのコミュニティによせられた内容とのことです。前にも書いたとおり、このワークのいくつかの方針は私が習うクラニオ教程にも取り入れられています。
 で、載せてみたはいいが、特に2は、ちと表現がストレートな部分もあるので、若干誤解を招きやすかった部分もあったみたいです。私としては、意味が分かって役に立てられる人が役に立ててくれれば良いと思うので、どう解釈されても、それはそれで構わないのですが、一応本来の意図は明瞭にした方が良いとも思うので、今回はこれの補足説明などしてみます。なお、私自身はソマテック・エクスペリエンスの専門家ではないので、実際は私が書いた内容と少し意味が違っていたり、もっと別の意味が含まれている可能性もあることはお断りしておきます。

◆全体まとめ
 まず、1~3をまとめて言うと、「災害の経験は人間の神経系に大きな興奮をもたらし、なにかしなければ!という思いも誘発する。しかし、そこで、多くの刺激(ここでは、災害の経験そのもの、周囲の人の様子、あらゆる媒体を通じて流れる多くの被災情報など)に触れすぎると、人によっては自律神経系にキャパシティ以上の負荷がかかり、かえって混乱したり、状況に圧倒されて動けなくなってしまう恐れもある。
なので、まずは、1,3で言うように、自分が安心できるように深呼吸でもしてみたり、仲間や家族と連絡が取れるなら励まし合ったりして、ある程度自分が落ち着こう!」…ということですかね。
 その際に2のような、刺激の強い情報を控えめにした方が落ち着きやすい人「も」いる、ということです。ある程度落ち着いた状態なら、すばやい行動もしやすく、色々な災害情報も判断しやすいというものです。

 2で映像について特に書いてあるのは、映像の効果で潜在意識に何か影響があるとか、悲惨な映像がなんとなくマイナス思考を誘発するといった意図ではないです(そういう考えもありだとは思います)。生々しい映像情報は、単純に自律神経系に対して、刺激としての影響力が大きい、という意味です。…というところで、以前も書いたんですが、自律神経系と刺激の関係についてもう一度書いてみます。

◆過活性とは
 人の自律神経系は各種の刺激を受けると「活性化」し、「逃げなきゃ」とか、肉体がすばやくアクションできるモードに入ります。これは生きるために必要な反応です。そして、「活性化」は危機を乗り越えたりして、必要がなくなれば元に戻ります。

 ただ、自律神経系にはキャパシティがあって、あまりに大量の刺激に晒されたり、圧倒的な質量の刺激に晒されたりして、キャパシティを超えてあまりにも活性化しすぎると(自律神経系の「過活性」と呼ばれています)、ささいなことに過敏に反応してしまったり、動けなくなったり(たとえば、パニックのような状態など)、正常な判断ができにくくなることもあります。
 この自律神経系のキャパシティは、休息などにより神経系がリラックスできるとまた元に戻るので、過活性も通常は時間が経てば解消しますが、その間判断力が低下するので、状況に応じた迅速な対応ができることが望ましい危急時においては、ならずにすむなら、ならないほうがいい、というのは確かではあります。
 なお、「過活性」は「火事場の馬鹿力」とは別です。そういう力を出すには、おそらく心身が完璧に統一されるようなある種の強力な集注感が必要で、重心が浮いて、自分自身が落ち着けないような過活性状態では多分出ません。

◆トラウマ化
 また、これに関してもう一つ問題なのが、「活性化状態の常態化(「トラウマ化」と呼ばれています)」です。あまりにも過活性状態を誘発するような状況が連続すると、実際の災害が終わっても自律神経系が活性化したままになり、ちょっとした刺激に過敏に反応するような状態になることもあります。これは、上記の「過活性」が常時起きているということなので、日常生活に影響が結構あります。

 過敏状態であるが故に、ささいなことで身近な人に激しくあたってしまって、自分自身がますます傷ついたり、という負の連鎖につながることもありますし、過ごし方によっては何年も続いてしまうこともあるので、ものによっては結構深刻です。帰還兵や大事故にあった方がその後も既に過ぎた経験に悩まされる、という例はしばしば聞きますよね。そういう深刻な状況でも、上手に過ごせば自然解消するだろうし、効率的に解消するためにサイコセラピーや色んなワークがあるわけなので、解消自体は可能と思いますが、その間しんどいとは思うので、これも避けられるなら避けたいですよね。

◆つまり
 1~3はそういった状態にできるだけなりにくくしたり、もしなっても、できるだけ短時間で復帰しやすくなるためのこつ、ということです。なお、2に関しては、自律神経系のキャパシティや刺激への耐性には個人差があるので、刺激の強い映像を観ても平気な人は平気でしょうし、必要な災害情報が全くないと困りますので、当然ながら、テレビは絶対観るなという意味でもないです(ここで言わんでも2の文面から分かると思いますが)。
 また、これは「災害のほぼ直後」という状況での話で、ある程度状況が落ち着いてからは、自律神経系も(地震の体験という刺激はある程度解消されており)キャパシティに余裕がある状態でしょうから、少々刺激的な映像を見たくらいでは目だった影響が全くないことも多いでしょう。そもそも、状況が落ち着けば生々しい映像自体も減るわけで。

 冒頭のまとめで述べたことと重なりますが、要は、災害直後に、強い刺激への耐性があまりない子供や、特に弱っている人や、敏感になっている人(別の言い方をすれば自律神経系のキャパシティがもともと少ない人や、いっぱいになりかかっている人)が影響力の高い映像などの刺激に釘付けになって、過活性状態を起こし、無力感からますます混乱してしまったり、避難などの動くべき時に動けなくなってしまうような事態を防ごう、ということですね。
 そして、そのような状況では、情報の収集も大事だが、自分自身が仲間と協力し合って安全を確保し、しっかりとおちついて冷静な判断力をもって動ける状況になることが最優先、というわけです。まあ、これは日常の情報の扱い方でも共通かも知れませんが。

 良く漫画などで、小さい子供や繊細そうな女性キャラが悲惨なシーンや残酷なシーンを目の当たりにしそうになった時に、漢気溢れるキャラが「見るな!」と言ってそのキャラの目をふさいだりしますが、これもジェントルマンとしての道義的意味合いの他に、上記のような(トラウマ化や過活性の影響を最小限にする)意味も潜在的に含まれた対応とも解釈できるかも知れないですね。

※3/26追記:
本文では「過活性」の例として、分かりやすい「興奮しやすい状態」を挙げていますが、
過活性には「何もできないくらいもの凄く無気力」という状態もあります。
前者は自律神経のうち交感神経の過活性、後者は副交感神経の過活性の例です。
「興奮しすぎ」か「静かになりすぎ」か、と想像すれば分かりやすいかと思います。

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プロフィール
HN:
朧 こと 今野
性別:
男性
自己紹介:
会社員生活の傍ら、手技セラピー「クラニオセイクラル・バイオダイナミクス」を学んでいます。

「★クラニオバイオリンク集」ではここ以外のクラニオバイオ関連サイトを紹介しています。

私自身のクラニオセッション等の活動は現在休止中です。

私のプロフィール的なものはこちら
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