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クラニオセイクラル・バイオダイナミクスや身体に関する色々を気まぐれにつづります。
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これまでなんべんか書いているので、しつこい気もしますが、まとめの意味も含め、クラニオ・バイオダイナミクス(以下クラニオ)のセッション中の「距離感」について書いてみます。

◆クラニオの距離感
ここでいう「距離感」というのは、クラニオをやる人と受ける人の間にある、物理的・感覚的、両方の意味での「適切な距離」です。要は「お互いにとって心地よい距離」です。武術っぽく言えば、「適切な間合い」となりますかね。
一般のボディワークでは、「相手の方に触れた時にどうアクションするか」が主眼だと思うので、やる人と受ける人の距離感は、技法体系の中ではあまり重きを置かれていないかも知れないですが(違ったらすみません)、クラニオは能動的アクションがなく、どうやって相手を邪魔しないように居続けられるのかが重要なので、技法における距離感の重要度はかなり高いと思われます。

たとえば、セッションで受ける人の身体が変わろうとし始めても、やる人がその様子を近くでじろじろ見ていたら、受ける方は気になって、変化なんかできないか、警戒して変な風に変わってしまうかも知れません。かといって、やる人があまりに遠くにいて、受ける人がそこらに取り残されている感じだとしたら、やはり身体は気分良く変化する気にはなれないでしょう。
そんなわけで、「受ける人の身体にとって、放置されもせず、近すぎて負担にもならない距離」にやる側の人が居つづけること自体が、セッションの全般にわたって必要と考えられているわけです。むしろ、適切な距離感が分かること自体がクラニオの重要な技術の一部といえるでしょう。

◆適切な距離の発見
「適切な距離感」は、クラニオをやる側の人が、受ける人の身体に触れ、自分の上体の角度を変えたり、視線の位置、意識の置き所を変えたりなど、微妙に動く中で「自分にとって負担でなく、遠過ぎもしない位置」を感じとることによって見つけます。やる人にとって心地よい位置は、受ける人にとっても心地よい、という理屈です。

この「適切な距離感」はセッションの展開につれて微妙に変わってくることがあるので、必要な場合はセッション中に距離を調整することもあります。確か前も書きましたが、セッション中はほとんど意識の置き方のみで距離を調整します。例えば、やる人が自分の背中側や背面後方の空間を意識する、などです。意識の起き場所によって距離が離れた感じが出てくるのです。やる人がある程度慣れてくると、無闇にあっちこっちに意識を動かさずとも(ちょっとした視線や意識の置き方で)大丈夫になってきます。
頭に触れている場合は、触れている手を少し開き気味にするなどの「物理的に動く」対応をすることもありますが、あまり頻繁にばたばた動かしたりすると、受ける人はこれまた落ち着かず、更に急に動かされでもしたら、気分が悪くなることもあるので、通常はそう無闇に動かすものではありません。

◆距離感いろいろ
また、これはあくまで個人的な体感ですが、手を動かすなどの物理的な距離のコントロールが必要なのは、主に「物理的肉体そのもの」に向き合っている時で、「もっと大きな領域(…と書くと微妙にオカルトですが、「物理的肉体を含むその人全体」のような意味合いと思って頂ければ)」に向き合っている時は、あまり必要ないように感じています。
 やる人が、受ける人の身体システムのどの「領域」に向き合っているかによって、「距離」の意味合いも変わってくるということなんでしょうね。なお、個人的に「バイオダイナミクスらしさ」を感じるのは「大きな領域」のほうに向き合っている時です。

距離感の話に戻ると、「適切な距離の調整」が始まっているのは、受ける方に触れる前からだったりします。クラニオのセッションでは、やる人は受ける人に実際に触れる前に、少し離れた場所でしばらく座って、落ち着くまで待つのですが、この時既に「適切な距離」を意識した位置に座っているわけです。
離れたところからスタートするのは、「やる人、受ける人双方が十分落ち着いてから触れる」という意味合いなのですが、「お互いが警戒せずにいられる遠くから徐々に距離を詰めて慣れていく」という距離感の配慮も含まれているものと思われます。東洋の伝統武術では、相手に触れる前から技が始まっているなどと言いますが、まあそんなようなもんでしょう。

◆人との関係性
「適切な距離感」は受ける人によっても異なります。相手に構って欲しいタイプの人やひとりでいることの不安が大きいような人はどうも近い距離を好むことが多いようです。私のように、基本的にほっといて欲しい人は割と遠目の距離が必要です(多分)。
そんなわけで、私が「構って欲しい人」にセッションをする時は、自分が「ふつう」だと思う位置よりも若干近づかないと、良い距離感が見つからなかったりします。このように、「お互いの関係性」によってもセッションや距離感は変わってくるわけです。

結局のところ「相手との適切な距離感」に対応し続けるということは「相手との適切な関係性を見つけていく」作業でもあるんでしょうね。

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前回は書いているうちに眠くなって半端に終わったので続き…といきたいところだが、実はクラニオの姿勢については、そんなに厳密なものがあるわけではなかったりします。
とりあえず、前回書いた、ベッドや椅子の高さを十分調整し、腕が長時間同じ場所にあっても疲れないように、クッションやまくら等を使って、十分リラックスできるような状態を整える…という部分が姿勢に関わる第1段階。

◆まっすぐ
で、姿勢関連の第2段階は、そのリラックス状態を保ったまま、自分の姿勢をまっすぐにして、受ける人との距離感を適切に調整する、という感じ。まっすぐといっても、身体を練る(鍛える)ための姿勢ではないから、自分が十分リラックスして心地よいことが優先。まっすぐでリラックスしていることが必要な理由としては、「まっすぐの姿勢の方が結果的に自分が楽だ」ということと、「まっすぐの姿勢の方が今起きていることの情報が自然と受け取りやすい」ということが主に挙げられる。
自分がまっすぐかどうか確認するのには、ミッドライン(背骨とほぼ並行して走る、身体の中心にあるライン。おおよそ「正中線」のようなもの。詳細はいつか書くかも知れない。)という指標を用いることもあるが、あまり自分の体内やイメージの類に意識を向けると自分の身体が緊張するし、ミッドラインの感知よりは受ける方との距離感の方が重要なので、極端には気にしない。ぼんやりクラニオセッションをしていると、相手の方の方向に引き込まれやすいこともあり、いつの間にか身体が傾いて、受ける人の方に微妙に寄ってしまっていることもあるので、そういう時に、「まっすぐ」がどこか大体分かるミッドラインのような指標があると便利、というくらい。

◆距離感
受ける方との距離感の調整はほとんど勘のみの世界だが、かといって、そんなに超能力的な素養が必要なわけでもなく、気をつけていれば、誰でもわかるようになるものと思う(まあ、駅などで歩いていると、日本の街中の人々の多くはあまりにも他者との距離感に無頓着にも見えるが…)。距離感といっても、物理的に身体を大きく動かして数十センチ単位で距離を調整するわけではなく、意識を若干背中側に置くとか、視野を広く取るとかいった程度の方法で、ほとんど自分の意識のみで距離を取る(あるいは距離を取ったつもりになると言った方が良いかも)。つまり、距離感を調整する時も、見た目はあまり動いていない事が多い。
実際、やる側の人が、自分の腹側に主に意識をおいているか、背中側に意識を置いているかだけでも、受ける側の印象は大分変わる。やる側が物理的に動いて距離を取ろうとすると、あまりにも遠くなりすぎたり、相手に触れている場合は受ける人の身体を引っ張るような方向性を与えてしまうこともあるので、もし実際に大きく動く場合は一度受ける人に触れている手を離してから動くのが一般的。
他に、自分の背面・後方を意識する軸として、自分の後頭部からまっすぐ斜め後方に、地面に向かって延びている線をイメージし、それによりかかるようにする、というものも教えられるが、これは最初から意識するのはかなり難しいし、いつもやらなくてはならないものでもない。それを意識して変に緊張するくらいなら、初心の頃は背中を何となく感じるくらいで十分だろうと個人的には思っている。

◆重心
やる人の重心は落ちていた方がいい。受ける側の人は、やる側の人の身体状態や、やる人の存在そのものを道標のように用いつつ、自分の身体システムを整えていくようなので、受ける側の姿勢があまりフラフラしていると、受ける側のシステムも迷わせることになってしまう。クラニオはセッションが順当に進行すると、やる側も結構気持ちよいので、ついぼんやりしすぎてしまうことがあるが、その時には、自分の足(つまり地面や自分の重心)を意識するなどして、意識を飛ばしすぎないように気をつける。
変な例ですが、仮にクラニオをやる人が武術稽古も併習しているならば、嫌でもある程度重心は落ちていると思うのだが、クラニオの教程自体は、重心が落ちるのに役立つ何かを特別にすることがあまりないようなので(クラニオを受けていれば身体が変わるかもというのはおいといて)、まったく自分の身体を遣う習慣のないクラニオプラクティショナーの方は、どこかで自分の身体を遣う稽古(武術に限らず、ヨガとかフェルデンクライスなど、自分の身体を動かし、理解するワークならなんでも。)もした方がいいのかもしれぬとも個人的には思う。意識せずとも、ある程度重心が落ちていると、セッション中、突発的な事態(受ける人によっては、寝ていたと思いきや、いきなり飛び起きるなど、色々な事が起きることがあります。)にあってもあまり動揺せず、落ち着いて対応できるし、受ける人の身体システムがかなり興奮状態にあっても、それに引っ張られて自分も相手も一緒に興奮してしまうようなことも少なくて済む。やる側の人は「道標」なのだから、受ける人がどんな状態でも、それに一方的に引っ張られるのは駄目なわけですね。


…まあ、やる側の人の姿勢に関してはおおよそこんな感じでしょうかね。結局、クラニオでは姿勢に関してはあまり具体的な決まりは多くなく、個人の裁量によるところが大きいといえそうです。同時に、ある程度まかされる部分だけに、この姿勢の充足度によって、プラクティショナーごとのセッションの安定度が違ってくる、ということは結構ありそうですね。

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クラニオ(バイオダイナミクス)のセッション中の姿勢について大雑把に書いてみます。


ここまでの記事で何べんも書いてますが、クラニオはやる人が長時間じっとしている技法なので、姿勢は重要です。時に数十分もじっとしているので、リラックスできるような、心地よい姿勢である必要があります。まあ、しんどくなった場合は受ける方に言って姿勢を直せばいいんですが、初心の頃は気後れして言えなかったりするし、しんどくなるような姿勢になること自体はセッション開始前に予測されてしかるべきなので、セッション前に十分に安定できる姿勢を整えた方がいいのは言うまでもないです。
…と同時に、だらっとしている姿勢も良くないです。だらっとしていると、自分で勝手に気持ちよくなって、受ける側を無視してセッションが進んだり、受ける方の身体システムの状況が良く分からなかったりしますし、ある程度姿勢をまっすぐにして、きちんと座っている方が結果的に身体の局部に負荷がかかりにくく、楽でもあります。これはまあ、多分他の技法でも同じでしょう。


クラニオセッションでは、受ける人にマッサージテーブル(大体高さ1メートル程度の、高さ調整ができる持ち運び用テーブル)の上に寝てもらい、やる人は椅子に座って、受ける方の身体に触れていきます。なので、まず楽な姿勢を取るために重要なのはベッドと椅子の高さです。やる人は実際に椅子に座ってみて、自分の身体に無駄な力が加わらない、適切な高さを確認し、ベッドの高さや椅子の高さを調整します。めんどくさいといえばめんどくさいのですが、この過程を無視して受ける方がベッドに乗ってしまうと、途中で簡単にベッドの高さ変更はできないので、自分に合わない高さのまま必死に姿勢を調整することになり、とても大変です。
後は、セッション途中で相手の方のベッドから多少高い位置(胸部など)に触れる時など、腕を上げる必要がある場合、何の対策もしないと腕が緊張してくるので、必要に応じてまくらやクッションなどを自分の肘の下に置いて高さを微妙に調整し、安定して触れ続けられるようにします。武術の鍛錬で、長時間腕を同じ格好で空中に固定していられるとかも可能性としてはなくもないですが、それも意識が緊張しますので、心地よさ重視で行きます。


私の場合、クラニオを習いたての頃は、武術稽古の影響か、「しんどいはずの状況でも、できるだけ楽にできるように」などと考え、わざわざしんどそうな姿勢を選んだりしてましたが、クラニオの場合は、「自分が可能な限り楽な状況・姿勢」をちゃんと見つけて設定しないと、自分がしんどいくらいですから、相手の人も同じくらいしんどかったりします。そんなわけで、否応なく、心地よい姿勢というやつを探るわけですが、楽なことのはずなのに、逆に結構苦労しました。実際、自分に関して言えば、それまで「できるだけ心地よく」ということを考える機会はありそうでなかったものです。日本人の頑張る気質みたいなものはよい面もあるが、そういう心地よさの探求を苦手とする面にもつながってくる気もしますね。

…と、随分抽象的になりましたが、全体の姿勢方針はこんな感じで、(だらけない程度に)使うべき道具は遠慮なく使って、心地よさを重視するというところですかね。姿勢がまっすぐとかの実際の身体の姿勢についてはまた今度書きます。

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前回はクラニオ・バイオダイナミクスの「タッチする」という意味での触れ方について書いてみましたが、今回は「どこに触れるか」というような意味合いでの触れ方「ハンドポジション」について書きます。といっても、種類がたくさんあるので、概略だけ書きます。

◆ハンドポジション
クラニオでは、多分先人が色々試行錯誤した結果まとまってきたと思われる、「ここに触れていくとだいたい展開がスムーズ」とされる触れる場所があり、その「基本的な触れ場所」が「ハンドポジション」と呼ばれます。実践性を持ち合わせた型みたいなものです。

全身の色々な個所に触れる可能性があるため(もちろん受ける方が抵抗を覚える部位、社会的に問題挙がるような部位には触れません)、色々ハンドポジションはありますが、触れる場所は自由に選んでいいので、無限にあるといえなくもないです。ただ、常識的に考ると触れる場所は比較的限られるし、教程で習ったり、市販の本に載っている代表的なポジションの多くはほぼ完成されていて、かなり使い勝手がいいのも確かです。そのため、今のところ、私がセッションを進める上では、習ったポジションと、それを微妙に変形したものくらいで事足りています。主に触れる場所としては、頭部、肩、胸の上部、横隔膜付近、背骨、仙骨、足などが一般的です。

◆頭への触れ方
「クラニオセイクラル」は直訳すると「頭蓋仙骨」となりますが、「頭蓋」と付くだけに、頭に触れるハンドポジションの種類は非常に多いです。骨1つ1つに対応する触れ方があります。篩骨や鋤骨など、頭の中央部にあって物理的に触れる事が困難な骨の場合は、別の骨との動きの連動などを通じて、対象の骨が感じられるような触れ方になります。しかし、頭部へのたくさん触れ方があるといっても、普段使うのは、受け手の人にあまり抵抗がなさそうな3,4種類というところです。技法名が頭蓋仙骨という名前である割に、セッションを通じて、頭に1度も触れないこともしばしばです。頭部はデリケートな部位なので、クラニオを受け慣れている人相手で、さらにそこに触れる必然性がなければ、特殊なポジションはそうそう使いませんし、相手の方に抵抗があることはしたくないものです。

◆触れる回数など
クラニオでは、だいたい45~60分程度の1セッションにつき、身体の2~4カ所くらいを順番に触れていきます。1カ所につき、だいたい10~20分程じっと触れている、を繰り返すワークです。「1セッションにつき、2~4個くらいのハンドポジションを使う」ともいえます。私自身は教程で主に紹介されている、「受ける人の身体システムが静まりやすそうな部位⇒気になる部位⇒落ち着いて現実に戻ってきやすそうな部位」の3カ所かそれ以上に順番に触れていくことが多いです。状況によっては最初のハンドポジションを40分くらいひたすらやって終わらせる時もあります。その一方で、1セッションで5カ所くらい触れる展開もあります。使うハンドポジションは受ける人の状態やセッションの展開によって決まるので、だいたいこうかな、というのはあるものの、ほとんど常にアドリブ展開です。

ハンドポジションは、頭部に触れる一部のものはかなり難しいですが、大抵のものは形だけならそう難しくありません。また、難しければ効果が高いかというとそんなこともありません。「必要な場所に適切な方法で触れる」ことが重要なので、基本的な数ポジションに熟練するだけでもセッションは一応できると思います。実際、代表的なハンドポジションの形だけを紹介するなら、数日の講習でも事足りるかも知れません。ただ、「形を知っても、それだけでは使えない」というのは武術などでも大変お約束なメッセージですが、クラニオもまた然りで、使いこなすまではそれなりに時間がかかるものです。まあ、クラニオの場合は「触れながらも余計な介入をしない」ことが大切なので、ある意味「使いこなす」とは逆ともいえますが。

◆部分ではなく全体を見る窓
なお、ハンドポジションで特定の部位、時には特定の1個の骨に触れるといっても、「その骨に注目してゆるませる・矯正する」といったことが主目的ではないのが(結果的にゆるんだりはしますが)、クラニオ・バイオダイナミクスの特性であり、なかなかやっていて難しくも興味深いところです。
じゃあ、主な目的は何なのかというと、「触れている部位をやや意識しつつも、身体システム全体の働きを視野に入れる」ことです。つまり、常にワークの対象は「身体システム全体のバランス」であり、ハンドポジションで触れている部分は「身体システム全体を感じる窓口として適切」と感じられたがゆえに触れられている、といえます。ここから触れていくと、受けるひとのからだの「全体性」や「健全性」に繋がりやすいだろうと感じるから、あるハンドポジションを選んで触れていく、という感じです。

2013/10 言い回し修正

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お題を自ら作ることで、だらけがちな己の心を奮い立たせ、何とかクラニオっぽいことを書こうとするシリーズその1です。まずはクラニオセイクラル・バイオダイナミクスにおける「ふれる」について。あくまで、「クラニオセイクラル・バイオダイナミクスで良しとされている触れ方」です。

◆5グラムタッチというのがあるらしいが
クラニオは、その流儀を問わず、一般には相手の方の身体に触れておこなう技法体系でありますからして、「触れ方」はそれなりに重要とされています。この至極大雑把なブログより、かなりちゃんとしていると思われる諸々のクラニオ関連ホームページの説明を読むと「「5グラムタッチ」とも呼ばれる繊細な触れ方をする」と書いてあったりするかもしれません。これは、私が学ぶバイオダイナミクス派だけでなく、バイオダイナミクスよりは手順に能動性をともなうと思われる「クラニオセイクラルセラピー」や「バイオメカニクス」系のクラニオでも同様とされているようです(私はそれらについて十分には知らないので、誤解もあるかもですが)。どっちにしろ、繊細なわけです。

5グラムタッチというのは文字通り、相手に触れた時に、その圧が5グラム程度しかないように、つまり極力相手に圧を加えないように触れる、というような意味です。5グラムというのは、ほとんど触れてるんだか触れてないんだか、というくらいの圧です。試しにはかりに自分の指を載せて、5グラムになるよう触れ方を調整してみると、あまりに手応えがないので驚くと思います。…驚かないかも知れませんが。

◆実はあんまり意識してない?
…と、書いてはみたものの、実のところ、今の私がそんなに接触点圧をグラム単位で細かく気にしているのかというと、実はあまり気にしてません。5グラムタッチという表現も、ここに書こうとして思いだしたくらいです…。私も最初の頃は気にしてましたが、「軽く触れよう」とすると、かえって自分の身体が緊張してしまうのですな。相手に触れている指先だけがもの凄く繊細でも、それを維持するために腕が緊張でプルプルしているようでは、結局は受け手の方に負担を強いることになってしまいます(やってる人の緊張はダイレクトに受け手の方に伝わりますので)。まあ、私も一応、ある程度クラニオをやってきて、軽い触れ方がなんとなく身についているので気にしなくなった、という部分はあるとは思いますが、「姿勢なども含めたトータルとして相手の方に負荷を加えない」というのがより重要なのであって、「5グラム」に無闇にこだわる必要はないとも思います。「相手のかたにあった触れ方」というのができれば一番いいですね。そういう点では私もまだ色々改善の余地があるというものです。

もちろん、相手の頭をボールよろしくがっしり掴むようにしたりとか、適当に触れるのは駄目です。クラニオは頭部などの繊細な部位に触れることがしばしばな上、極めて細かい身体の層に働きかけが及ぶこともあるので、もちろん、触れ方には他のワーク以上に気をつける必要があります。自分の言葉であえてまとめると、クラニオでよろしくない触れ方は、「相手に圧迫感を与える触れ方(+姿勢)」や「相手の皮膚や頭などを引っ張ってるとか、押してるとか、相手の身体に動きの方向性を与える触れ方(+姿勢)」といったほうが良いかも知れません。

◆圧迫感はだめ
このうち、前者の「圧迫感を与える触れ方」は、「5グラム」にも関わる部分ですね。要するに、受ける人にとって、なんか押されているようだとか締め付けられているとか苦しいとかそういう感じがある触れ方はだめってことですね。もちろん、がっしりと掴むように触れればそういうふうに感じますから、5グラムのように軽く触れろというわけです。もっとも、本当に5グラムの圧で触れていても、受け手の方の身体に無闇に意識を向けたり、これまで触れていた手をパッと離した程度でも、受ける側は容易に締め付けられた感じになったり、もの凄く気持ち悪くなったりします。私も受ける役に回った時に何度か体験しております…。

逆に、かなりしっかりと触れていても、触れられて心地よい時もあります。また、受ける人によっても、どう感じるかは大分違います。たとえば、ある人の身体の停滞している部位に触れたりすると、他の大概の人が平気な程度の触れ方でも、かなりの負荷を感じることもありますし(結果的に、ほとんど手を離したような感じで触れたりする)、軽く触れると不安がられる時もあります(そういう時はしっかり触れたりする)。要は、触れ方にはある程度の基準はあるものの、結局は圧の感じ方は受ける相手によりけりなので、いつも5グラムだからいいって訳でもないということですね。…なんかさっきから5グラム否定派みたいな発言を繰り返してますな…。もちろん、触れ方が重要なのは確かなので、慣れていない初心の頃は5グラムを意識して悪戦苦闘してみる過程も必要だろうとも思ってます。また、私自身ももっとセッションが安定してきたら、結局は「5グラム」に戻るということになるのかも知れません。

◆誘導も駄目
後者の、引っ張ったりするというのは、例えば、ベッドに寝ている人の頭上に坐り、両側頭部に両手で触れ、頭頂に向かって軽く引っ張るような意識を持ちつつ触れるとか、そういうのですね。もちろん、そういう方法で効果を出しているワークも色々あると思うので、それ自体が悪いというわけではありません。ただ、クラニオ・バイオダイナミクスは、受け手の方の身体に様々な変化の選択肢を与えるべく、術者が色々な意味において、極力「ニュートラル(中庸)」であることを重視する流儀なので、そういった「方向性のある触れ方」は、相手の方の身体の「自由な変化」を妨げることになり、あんまりよろしくないと見なしています(相手をガイドするような技法もあることはありますが)。受ける人は左に行きたいかも知れないのに、最初から「上方向に行けばいいんじゃね?」とか言って迷わせちゃ駄目って事ですね。

初心の頃は、軽く触れろというので、びびってしまって、触れている部位から手を離し気味に触れてしまいがち(私はもろにそうでした…)ですが、実はそれがかえって受け手の方に「手を離そうとしている(結果的に牽引に近い働きが生じる)」という思わぬ方向性を与えていたりする、というわけですな。途中に出てきた「距離感」や「ニュートラル」についてはもう少し突っ込んで書くこともあるかと思います。

◆余計なことせず、触れるって事です
で、これら「だめな触れ方2つ」を更にまとめると、前者の「圧を加える」は「相手の方の内側に押し込むような意図や働きを加える」、後者の「相手の方の垂直方向に導くように意図や働きを加える」ともいえるかも知れません。要するに、どっちも、受け手の方の身体にとって違和感や妨害になりうる「なんらかの方向性」を与えているから駄目なわけですな。

そう捉えると、さきほどの「「ニュートラル」というクラニオ・バイオダイナミクスの原則に反する触れ方だから駄目」という説明は我ながら的を射ていたようです。逆に言えば、「相手の方の身体に余計な方向性を加えず、ニュートラルであり続けるように触れる」のがオッケーということですね。かっこよくいえば、「相手の方をどうこうしようとせず、ただ触れる」ってところですかね。まあ、それはぼんやり適当に触れるということでもなく、相手の方にフィットしている必要もあり、口で言うほど単純でもないので、「触れ方」は、クラニオ技法として身につける価値が大いにあるって事ですな。

…という感じですね。なんかきれいにまとまりました。よかったよかった。

拍手[3回]

プロフィール
HN:
朧 こと 今野
性別:
男性
自己紹介:
会社員生活の傍ら、手技セラピー「クラニオセイクラル・バイオダイナミクス」を学んでいます。

「★クラニオバイオリンク集」ではここ以外のクラニオバイオ関連サイトを紹介しています。

私自身のクラニオセッション等の活動は現在休止中です。

私のプロフィール的なものはこちら
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