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クラニオセイクラル・バイオダイナミクスや身体に関する色々を気まぐれにつづります。
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久々に投稿したかと思えば、またもクラニオとは直接関係ない内容です。今回は「平均化訓練」という本を読んで感動を覚えたので、その雑感です。
なお、私は「平均化訓練」は数年前に1度講座で体験した程度で、勘違いや底の浅い理解をしている可能性は多々あるため、以下の内容はあくまで部外者の個人的感想&解釈と考えてもらえればと思います。


平均化訓練の書籍や活動について詳しく知りたい方は以下を参照ください。平均化訓練は個人的には大変興味深い体験だったので、本を読んで興味がわいた方は公式サイトの講習会情報を参考に体験してみるのもおすすめです。


・書籍「平均化訓練」出版社サイト → http://www.shunjusha.co.jp/detail/isbn/978-4-393-71412-6/
・平均化訓練 公式サイト → http://heikinka-kunren.com/


■平均化訓練
「平均化訓練」は「野口整体」の創始者として有名な野口晴哉先生の孫にあたる野口晴胤先生が開発した体操法で、私の理解で非常に大雑把に言うと、身体の中で普段使われていない筋肉をいくつかの型や相互運動から成る独自の体操のなかで見出し、その使われていない筋肉が使えるよう(力が入れられるよう)学習するものです。


人は日常生活でも意識的な運動でも、無意識のうちに優先的に使う筋肉があり、結果、その部位に疲労が集中的に蓄積。それによって定期的に同じようなパターンの心身の偏り・不調が発生しがちなため、平均化訓練の中で普段使われていない筋肉を意識し、さらに日常で働かせることで偏りの少ない心身のあり方をめざすことが主な意義の1つ…だと思います。


■自分の「平均化訓練」の体験から
ちなみに、本書にもあるように、「普段使われていない筋肉の発見」と言っても、普段右手より左手を使ってないので左手で物を持ちましょうといった大雑把な区分けではなく、かなり細かいというか、自力では早々気づきそうもない、奇妙なエリアが訓練の中で見出されるようです。また、人によってその箇所は全く違うようです。


私が過去に体験したときも、体操で導かれる中で「右足親指から足裏~背中中央を通って左肩付近まで伸びるライン」が「使われていない筋肉」として現れ、何故こんな妙な箇所が…と不思議に思った覚えがあります。しかし、実際にそこに力を入れることは確かに難しく、一方でそこに力を入れようとしながら過ごしていると、普段と違う疲れ方をしつつも、それだけで比較的姿勢が安定する感覚がありました。

また、その「弱い筋が表れた時の格好」が当時、自分が中国武術の対人練習の中でよく崩されるときの格好と似ていたこともあり、押されても踏ん張りがききにくい要因になっている箇所…とでも言うべき、「普段使われていない弱い筋肉」の存在にかなり納得したのを覚えています。


当時はどうやって、この格好に導かれたのか良く分からず、リードには熟練の技が必要なのかと思っていましたが、今回、本書を読んで何となくやり方の理屈が理解でき、ここ数年来の小さな疑問が少し氷解しました。


■伝統武術の型稽古と平均化
習っている者として少々ひいき目な見解もあるかと思いますが、この本の中で、著者も伝統芸能や武術の型稽古の意義に少し触れていたように、私が習っている中国伝統武術の型稽古の中にも(おそらく世界各国の伝統武術の中にも)平均化訓練的な要素があるのでは、という感想も改めて持ちました。


私自身、習い始めの頃は非常にやりづらかった姿勢や動作が、自分の身体の状態を十分意識して動いたり、先生に細かい部分まで直してもらう中で少しずつ癖が改善されたり、整ってくる…という過程を体験してきましたが、これは武術稽古(主に型稽古)の攻防技術習得以外の恩恵と思うところです。特に格闘的に強いわけでもない私の場合は、メインの恩恵と言えるかもしれません(笑)。即効性はないとしても、年単位で見ると、そういえば最近は前より重心がすっきり落ちていい姿勢になったな、と稽古仲間を見て思う瞬間もあります。


なお、この恩恵は雑に稽古しているとおそらく十分な獲得が難しいと思われます。本文でもあったように、身体の筋肉の使い方の癖は個人ごとの無意識のもので、同道の熟練者からの指摘や平均化訓練での自覚といった何らかのきっかけがない限り、本人の意識には全く上らないので、自力のみでの発見・改善は困難だと思います。
よって、映像だけ見て自己流で練習したり、そうでなくても稽古中の自分の姿勢や動作の違和感に意識を向けず惰性で稽古していると、自分の生来の(無意識的な)認識や身体の使い方の癖まで切り込むことができず、普段よく使う筋肉を用いたやりやすい運動ばかりしてしまい、結果「筋肉の使い方の偏りが強化される」という、むしろマイナスの結果が生じてしまう可能性もあるかと思います。


一方、型稽古による自分の身体や動作の変化に向き合いつつ、ある程度丁寧に稽古した場合、伝統武術の型はあまり現代の日常動作になさそうな動きも多く、中国武術の場合はバリエーションも豊かなので、結果、普段意識されない全身の様々な筋肉を使う機会があると思われます。
また、先生の手を取っての指導といったガイドにより、自力では正確に実現しがたい姿勢(決してアクロバティックな姿勢ではないが、何故か非常にやりにくいものがあったりします)を体験・意識したり、その姿勢をキープしたまま動こうとする練習もあるので、稽古の中で弱い筋も少しずつですが鍛えられているのではと思っています。


実際、前述の平均化訓練体験で見出された、当時私が「中国武術の対人練習の中でよく崩された姿勢」では最近は崩れた覚えがないので(そういった姿勢と関係なく上手な方には良く崩されますが…)、当時の平均化訓練の体験やその後の稽古の中で、当時意識された弱い筋も多少は鍛えられたのでは、と思っています。


このように、武術などの型稽古によって自然と「平均化」される部分もあると思いますが、本書の、平均化訓練で弱い部位を意識したことでテニス選手のフォームが良くなった例に見られるように、平均化訓練で自分の弱い部位をあらかじめ知っておくと、通常の型稽古の恩恵にさらにプラスして効率的に稽古できる可能性はありそうです。


■興味深かった言葉1:喧嘩も同調の1つの形
本書には平均化訓練の概要だけでなく、示唆に富む言葉も多くありました。個人的には「喧嘩も同調の1つの形」「ある部位の緊張を取るために、使われていない他の部位を緊張させる」という言葉、考えに特にハッとさせられるものがありました。


まず「喧嘩も同調の1つの形」ですが、そもそも、このブログで扱っている(はずの)クラニオ・バイオダイナミクスもクライアントとの(結果的)「同調」が非常に重要なワーク体系といって良いと思います。ただ、その分、私は同調という概念に親しみや重要性を感じつつ、同時に静けさを伴う状態の共有など、ポジティブな意味として無意識に使ってきたので、「マイナス方向の同調」という言葉には新鮮さを感じました。


考えてみればもっともな話で、例えば、怒りを覚えている人のそばに行けば、平常心のまま近寄った人も心(と身体)がざわつくと思います。そして、実際は自分由来でないその感情に乗ってしまい、自分も怒りの中に巻き込まれることはまさに相手と同じ「怒りの身体感覚」を共有している点において「同調」であり、大概の喧嘩も両者が同じ負の感覚を共有した上で「関わりあう」「交流する」形として発生するものと言えそうです。


私自身、中国武術の対人練習の時も、相手の心理状態が少し攻撃的になったと思われる瞬間を機に(本来はこちらがそれにあおられて緊張せず、柔らかさをキープして対処すべきところ)喧嘩のような険悪さはないですが、力のぶつかり合いに近い状態になってしまうことがあります。これも軽度のマイナスの同調、と言えるかもしれません。


クラニオに結びつけて考えるなら、相手との「マイナスの同調状態」に巻き込まれつつあるとき、そこに引き込まれずにプラクティショナーニュートラルを保って同調状態から一度外れたり、静けさ等のリソースにつながり直すことで「マイナスの同調状態」をプラスに転換する努力をする(ニュートラルなのでプラスというよりゼロかもしれませんが)ことがポイントとなる…とも言えるかもしれません。


■興味深かった言葉2:緊張を取るために、使われていない他の部位を緊張させる
「緊張を取るために、使われていない他の部位を緊張させる(ことで緊張が軽減)」は、無理に緊張している部位を緩めようとするのでなく、ふだん使っていない筋肉を緊張させることで結果的に身体全体が整い、当初あった部位の緊張が軽減する…といった関係性を表すものと解釈しています。


これも一見「逆転の発想」のようでいて、かなり納得感のある言葉です。確かに緊張している箇所の力を意識して抜こうと思っても早々抜けるものではないし、私も普段の型稽古の中で少し似たことを体験している気がします。


例えば、私が学ぶ中国武術にある静かに立ち続ける稽古では、「脱力」は部分的に少し意識することはあるものの、どちらかというと、意識して体の各部を張り伸ばす、拮抗を作る等を意識する比率の方が高い気がしており、そんなにゆるゆるしていません。むしろキツイです(特に足腰が…)。
しかしやっていると、仕事疲れ等で生じていた身体全体の細かな緊張が軽減してスッキリする感じがします。身体全体の構えを意識によって整える中で結果的に(主に上体の)無駄な緊張が抜けやすくなる…という感じですが、これは先の言葉とどことなく共通点を感じます。


また、これもクラニオセッションに結び付けて考えると、相手のある部位の緊張状態を取ろうとしてその箇所に触れるのでなく、「1次呼吸システムのサポートが出来そうな部位」に触れてワークを続けることで結果的に全体の緊張が軽減…といったことにも少し通じるかもしれません。クラニオだと緊張を意識するわけではないですが。


一方、私もそんなことを稽古やセッションで多少は意識しているはずでありながら、日常ふとした瞬間に緊張を感じると、「その部位の緊張」を抜こうと意識してしまうこともあります。「別の部位を緊張させる」は、そんな稽古や日常のちょっとした瞬間に対処するヒントになりそうな言葉です。


「喧嘩も同調の一つの形」「緊張を取るために、使われていない他の部位を緊張させる」…いずれも書き始めたら色々な考えが湧いてきましたが、まさに分野を超えて考えを展開できる深い言葉という感じです。予期せずクラニオの話題にも結び付いてしまいました。


■おわりに
本書を読んでいて、かつて体験した平均化訓練の不思議な感覚を思い出したり、当時分からなかったことが少し理解できたこともあり、ついうれしくなって長々書いてしまいましたが、本書には他にも筋肉の使い方のかたよりによる心理状態の変化など(これには、ソマテックエクスペリエンスが定義するトラウマ化の概念などにも通じると感じました)著者の野口整体への深い理解から生まれたと思われる言葉が色々あり、大変興味深かったです。


本の文体はシンプルな語り口ですが、その分、活用分野の幅を広げて考えられる余地があり、上記で私が取り留めなく書いてきたように、体を遣う芸事、習い事や手わざ系セラピーなどをされている方には特に探求のヒントを多く与えてくれそうな良い本と思います。


私も、本書を読んだことを機に、自分の武術稽古やクラニオ活動を改めてポジティブな新しい視点で見直すことができそうです。

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朧 こと 今野
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自己紹介:
会社員生活の傍ら、ICSBという団体の教程で手技セラピー「クラニオセイクラル・バイオダイナミクス」を学んでいます。

「★クラニオバイオリンク集」ではここ以外のクラニオバイオ関連サイトを紹介しています。

クラニオセッションは現在、ブログ主と近しい方、ICSBのクラニオ学習者を中心に限定的に実施しています。
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