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クラニオセイクラル・バイオダイナミクスや身体に関する色々を気まぐれにつづります。
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身体には、神経系や骨、筋肉や内臓だけでなく「膜」という層もあります。更に、膜といっても、色々な膜があるのですが、特に、脳や脊髄神経の周りを覆っている膜は「髄膜」等と呼ばれており、クラニオでは「相互張力内膜」と呼ばれていることもあります。クラニオ関連の話題でこの「髄膜」が話題になるのは、それらに着目してセッションを行う場合もあるからです。今回はそれら髄膜を少し話題に取り上げてみます。

◆髄膜
「髄膜」は頭蓋骨~脊椎の内側にあり、脳と、脳に直結して下半身に向かって伸びている脊髄の周りを覆っています。この膜の特徴は、頭蓋骨内部の先端(膜の先端は篩骨という頭の骨の一つに繋がっている)から「脊髄のほぼ末端」までを覆う、ひとつながりのカバーのような状態になっていることです。ぶかぶかのカバーではなく、脳や脊髄の周りに、1枚の弾力のあるカバーがぴったり貼り付いているようなイメージです。先程の「相互張力内膜」の中に「相互」という言葉が出てきたように、全身の各所にばらばらに膜が点在しているのではなく、一定の張りをもった状態で、1枚の膜が繋がって存在しているということですね。なお、脊椎にはところどころに脊髄神経の出口もあるので、カバーのような状態といっても、他の器官から遮断されているわけではありません。

この膜システムの主な役割は、弾力のある脳や脊髄が一定の形を保つことや、外部の衝撃から脳や脊髄を守ることだそうです。以前書いた「脳脊髄液」と似たような役割ですが、これも実は髄膜(正確には硬膜、クモ膜、軟膜の3層から成ります)の内側を通っている液体なので、膜の状態とも関係があるかもしれませんね。
身体の他の部位と同じく、この膜もどうやら緊張に近い状態があるようです。そして、髄膜はひとつながりのカバーのようなものなので、膜の一部の変化は膜全体にも影響を及ぼします。カバーの一部がたるんで、一部が張りすぎているような状態でしょうか。もっとも、筋肉などと違い、意図的に動かせる部位ではないので、緊張しているというより、ストレスによって生じた他の身体部位の圧縮などの影響を受け、本来の状態より、余計に伸びたり縮んだりしすぎている、という感じかもしれません。

◆身体のつながり
クラニオセッションの最中に、これらの膜に意識を向けると、「膜の緊張(のようなもの)」を感じることがありますが、そういった時は、緊張しているようだ、と感じる膜付近の骨の動きが不規則だったり、膜付近の体液のシステムによどんだ感じを覚えることもあります。これらの違和感のうち、「どれが一番先」に身体に起きたのかは判らないですが、身体のある場所に受けた影響が他の身体の他の場所の状態と連動している例といえそうです。

もう少しわかりやすい例を挙げるとすれば、足を骨折した場合、周囲の筋肉が緊張し、血管は付近の部位に血液を集め、神経は活性化し、結果的に足が腫れて痛みが出てくる…などがあります。
足の骨が折れても周囲の組織が全くサポートせずにいたら、おそらく歩くどころではないと思いますが、筋肉など、骨の周囲の全ての層が(というより、全身が)、一致協力して、その骨折状態をフォローするために色々な変形をし、何とか当座において活動できる程度の状態は保たれているはずです(痛いかもしれませんが)。
身体が連動しているといっても、つながっているから一部が傷むと他も痛む、というだけの話ではなく、このように、「身体の一部が衝撃やストレスによって変化すると、他の器官も連動して何らかの変化を起こし、防御作用を起こす」という身体のポジティブな反応としてとらえることもできると思います。

日常生活や運動などの場面において、緊張や硬直は必ずしも歓迎される状態ではないですが、先の例のように緊張といっても、それは時に「身体を守るためにやむなく・自動的に」行われる場合も多く、緊張それ自体が必ずしも悪ではない、といえそうです。もちろん、可能な限りリラックスし続けていた方がよいとは思いますが、骨折のような強烈なダメージを受けた瞬間などに限って言えば、緊張が身を守る大切な役割を果たしていることもあるのは確かです。


結局、後半は髄膜から話がかなりずれてしまいましたが、上記は「髄膜が他の部位と連動して緊張のような状態になっていることもあるようだ」という話と同種の、身体の防御作用、もしくは身体のつながりを別の側面から説明したものととらえて頂ければと思います。
特に髄膜の場合は、しっかりと脳や脊髄を守る役目を持っているので、大きなダメージを受けたら、脳や脊髄への影響を抑えるために、変形するなり緊張のような状態になるなりして、ダメージを軽減する必要がありそうです。そう考えれば、なんらかの大きな衝撃(何かにぶつかるような直接的な肉体への刺激のみならず、精神的な強いショックなども含め)を受けると、身体の表層だけではなく、この髄膜にも何か影響が及ぶこともある、と考えることは無理がなさそうにも思えます。

他の記事でも記載しているように、クラニオセッションでは、身体の1つ1つの緊張を探してそれを解除する、といった手順を踏まず、「身体全体のリズム」に主に意識を向け、セッションの結果、複数の緊張が軽減される場合もある、という感じですが、これも、クラニオが特別というより、この記事で取り留めなく書いたように、人体が複雑かつ精密に連動しているからこそ起こる現象といえそうです。クラニオもまた、非常に高性能な人体の調整作用や適応作用が前提にあるからこそ、心身のサポートができるわけですね。

参考文献:「カラー人体解剖学 構造と機能:ミクロからマクロまで」著 F.H.マティーニ、M.J.ティモンズ、M.P.マッキンリ 監訳 井上貴央 西村書店 ※これは解剖学書の中では結構わかりやすい本です。

2013/9 諸々修正

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